- アプリの中で
- 完成する
- 私の人生
- インドの奥で
今回はこの本の感想です。
的中率99%は一体誰が決めるのか?
前々から不思議に思ってました。占いの本を出す際に記載される
的中率というものを。確かに100%がいいに決まってます、しかし
実際書籍にするにあたって、的中率というのは確かに信頼度に
貢献する数字ですが、これは作者、つまり占い師側が出すのか
それとも出版する側が提示してくるのかどちら側なのでしょう。
占ってもらう側としては100%と言ってくれる方が嬉しいし、
ありがたいし、信じられるという気持ちになります。でも
もしかしたらどこかで”保険”を掛けるのかもしれませんね、万が一
のクレームのための保険を。私は占いというのは究極のところ
占ってもらう側の解釈次第だと思うので、本当には当たっていた
としても占ってもらう側が気に入らない『物語』だったとしたら
やはりクレームというものを入れたくなるかもしれません。
そのための保険、残りの1%。占いの的中率というものは
誰かの解釈次第だと言えるのかもしれません。
インドと中国の思想を混ぜ、物語への入り口は完璧
この本の作者 小林庚山氏の占いは陰陽五行説と四柱推命を柱
とし、インド哲学などを盛り込んだ小林氏独自の占いになって
います。私がうまいなぁと思ったのはインドと中国の思想を
掛け合わせた点ですね。これで読んだ方々は日本よりはるか昔の
「未知なる過去」へ思いを馳せやすくなると思うのです。はるか
昔から存在し、今も支持されている占いの基礎を使うことによって
自分が本当に導かれるのじゃないかという期待感を煽ってくれると
推測します。個人的に四柱推命やインド思想に興味があるから
かもしれませんが、これは市場に受け入れやすいと感じました。
本業は企業の経営、コンサルティングと経歴に書かれていましたから
そのあたりの嗅覚は鋭い方なのかもしれません。
自分を有名キャラクターに感情移入する占いが
流行っている昨今
最近といいますか、だいぶ前からではありますが有名キャラクターを
自分になぞらえる占いが一ジャンルになっている傾向があります。
この占いもそのようで自分がインド神のどれかになることで占う
ことになっています。自分がインドの神様の一人として感情移入
しながら、自分自身を見つめるのですから悪い気はしないですよね。
最近のこの流れは非常に個人的にはうまいなぁと思っているのです。
誰がこの流れを最初に作ったのか教えてほしいくらいです。こうすれば
自身を見つめながらなおかつそのキャラクターにも感情移入して
そのキャラクター自身のような錯覚も起こせる、こんなことされたら
一時とはいえ占っている人の貴重な時間を奪えるでしょう。物語に
入り込む、これほどの強力な魅力はそうないですからね。やはり
この占いの人気の一部はこの設定にあるのではないかと個人的には
思うのです。
LINEユーザーは何を求めるのか?
普通に当たってるという感覚と地についた解説
ここで気になる点が一つあります。それはこの占いを用いたアプリが
初登場で連続一週間一位を獲得したということです。LINEで。私は
現在LINEをやっていないので実際の感覚は今一つ分かりません。逆に
なぜLINEやってないの?と聞かれる立場かもしれません。私がLINE
をやってないただ一つの理由は「面倒くさいことになりそう、既読スルー
って一体何?」ですし、でもようやくフューチャーフォンからスマホに
(無理やり)切り替えさせられる事件が起こってようやくその気になって
スマホに切り替えましたが、今でもダウンロードしてません。上記の
理由によって。しかし、近い将来ダウンロードする予定ではあるのです、
これから会うであろう人がLINEをやっている可能性が高いから。
そうなのです、LINEというアプリは周りがやっているから自分も
やっているという理由で使ってる可能性が非常に高いアプリで
あるのです。そんな受動的な利用者が多いアプリで一位を取った
占いアプリであるとも言えるのです。だからなのでしょうか、
占い自体には特別他とあまりにもかけ離れた本当に超常現象かと
思われるほどのメッセージは感じませんでした。普通に十二神の
インド神を使って「応援してもらってる」そんな感覚を読んで
いて受けます。それよりも私は違うページに目が行きました。
それは時々入る占いの解説ページです。
出会いがないという方へ
出会いがない、出会いがない、と私のもとへやってくる方
がいらっしゃいますが、私のところへ来ても出会いはご
ざいません。強くぴしゃりと、まずはお話しています。
私との出会いはあるかもしれませんが、私との出会いは
運命の人との出会いではないのです。 P 108 より
とか
人間関係がうまくいかない方へ
「近づきすぎないこと」を大事にしてください。P188 より
など、解説ページがとても足に地がついていて、決してふわついた
メッセージではないなぁと感じるのです。私はこの解説ページにこそ
小林氏の本当の実力を垣間見るのです。決して当たることのみを売りに
しているわけではなく、人生をいかにサポートしていくかコンサルタント
らしい気概を感じます。きっと占われる側はその「気分」をどこかに感じて
信じる気になるのかもしれません。
鑑定は完全紹介制という媚薬
さて、ここからがさらに面白いと個人的には思うのですが、なんと
占いを信頼して鑑定してもらいたい、と願ったとしましょう。しかし
そこには甘い誘惑が待っているのです。なんと対面鑑定は完全紹介制
という大きすぎる壁が待っています。つまり、縁ができなければ
対面鑑定してもらえないという現実があなたを阻むのです。どうでしょう、
この誘惑度。信じれば信じるほど渇望する欲望。鑑定してもらいたい
と願った瞬間から訪れる自分だけの物語が知りたいという願いの
トリコ。いかがですか?あなたはそれを知ってもこの本を読む気になり
ますか?これこそが本当の一位の実力ではないかと個人的には思うのです。
ちなみに私は伐折羅(ばさら)でした。人とかかわることで輝く人生の
ようなので、今の占術ライター志望は合っているのかもしれません。
運勢バイオリズムによると恋愛は来年の方が良いらしいです。いや、
小林先生、私そんな余裕ぶっこいてる年齢ではないので一日も早く
いい人をお願いします、と願いながら本日のご紹介を終了しようと
思います。
翠 あんず